『母じゃよ～、全くお主はお寝坊さんじゃな～。
  ん？　なんじゃ、その間の抜けた面は。
  ほれほれっ、そんな事よりも朝餉の準備が出来ておるぞ、冷めぬ内に食わぬか。
  ・・・どうじゃ？ お主の口に合ったかの？
  次はもっとお主に寄せてみせるからの、楽しみにしておくと良いぞ！
  楽しみじゃろ？　そうじゃろう、そうじゃろう。
  その調子で今日も頑張ってくるんじゃぞ？　さすれば、次の膳がより一層美味に感じるじゃろうて！
  うむうむ！　では、見送るとするかの。
  ・・・忘れ物は無いかえ？　寝ぐせはついてないかの？　問題無いようじゃな。
  では、いってらっしゃい─』
────────────────────────────────────────
器量良し、気立て良し、料理良しな自らを『母』と称するパーフェクトお狐さま。
古風な口調で『子』を迎える彼女は今日もどこかで誰かの『母』となる。
ちなみに動揺すると、彼女のちょっと意外な部分が見られるのかもしれない。
────────────────────────────────────────
イラスト:jos様